昨日、朝日新聞朝刊が河村市長の辞職に対し論評を掲載しました。

河村たかし名古屋市長が辞意を表明した。自らが主導した市議会の解散請求(リコール)署名が必要数に届かなかった、とされた途端のことだ。
46万人の署名のうち、11万人を無効とした市選管に対し、締め切りの1日までに多数の異議申し出があった。
今後の審査で、決定が覆る可能性も残る。それなのに、「けじめをつけ、市長選に再立候補したい」と言う。
額面通りには受けとれない。
河村氏はもともと、リコール後の出直し市議選と愛知県知事選、市長選のトリプル選構想を公然と語っていた。リコールのあてがはずれ、市議選こそ実施できなくなったものの、そのまま突っ走る構えなのだ。
来年2月の知事選に、盟友の自民党衆院議員を担ぎ出し、市長選と一緒に盛り上げてダブル当選を狙う。
県政も、かつての名古屋市政に似て、共産党をのぞくオール与党態勢が近年まで続いていた。河村氏は「変革のチャンス」と期待をあおる。
しかし、河村氏は昨年4月の選挙で51万票を得て当選し、任期を半分以上余している。その市長が、別の選挙を有利にするために辞める。それは有権者が期待した行動だろうか。
12月から2月といえば、ちょうど市が予算を組む時期に当たる。一般会計だけで1兆円もの規模だ。市民サービスを低下させずに行革で財源を生み出して、持論の市民税減税を盛り込む実行力を見せる機会だった。
河村氏は「予算編成は予定通り行う」というが、市長不在で本格予算が組めるのか。仮に当選しても、直後の議会までに予算を組み直せるのか。
リコールの目的は、市議会に阻まれた市民税恒久減税、議員報酬半減、市民参加の地域委員会の拡充だった。
辞職後の市長選、ましてや知事選に勝ったとしても、市議会の状況は変わらない。
残暑が厳しかったこの9月、多くの市民が署名集めに汗を流した、減税効果は、年収500万円でせいぜい1万円。「私は税金なんて払ってないけど」というお年寄りまでもが街頭で呼び掛けていた。不況で沈滞し、閉塞(へいそく)した社会を変えたいと願い、河村氏の突破力に夢を託したのだろう。
プロの政治家として、こうした市民の期待を着実に政策に反映させる道を追求してもらいたい。
一方、市議会では改革の機運が急速にしぼんでいる。リコール成立におびえ、自主解散論や減税案も出ていたが、合意の見通しは立っていない。
多数の署名で示された民意に応える案を早急に示し、直ちに実行に移さなければならない。来年4月の市議選では、審判が待っている。
首長も議員も、問われているのは政治の力、そのものだ。





昭和区の木 ハナミズキ(Flowering Dogwood)

